You made my day
ヨガの資格をオーストラリアで取得したのですが、
ワーキングホリデーとしてオーストラリアでアシスタントナースとして働いていました。日本でいう介護の仕事です。
その中で、ある施設で出会ったおばあちゃんの言葉が、今でも忘れられません。
その日、私はシャワーと着替えの介助を担当していました。
髪を乾かして、服を着るのを手伝って、身支度を整える。
私にとっては、いつもの仕事のひとつでした。
でも、すべてが終わったあと、彼女は満面の笑みでこう言ってくれました。
“You made my day.”
「あなたのおかげで、今日がいい日になったわ」
一度だけではありません。
“You made my day.”
何度も、何度も。
本当にうれしそうに、笑顔で繰り返してくれました。
彼女は認知症が進んでいて、少し前の出来事を忘れてしまうこともありました。
それでも、この言葉は何度も口から出てくる。
その姿を見ながら、私は不思議な気持ちになりました。
記憶が少しずつ薄れていっても、
その人の中に残り続けるものがあるのかもしれない。
人への感謝や、うれしいと感じる心。
それを言葉にして誰かに伝えること。
もしかしたら彼女は、ずっとそうやって生きてきた人だったのかな、と思いました。
何度も繰り返される “You made my day.” を聞きながら、
「ありがとう」と伝えることが、この人の中に染みついているように感じたのです。
英語には、ときどき素敵だなと思う表現があります。
“You made my day.”
「あなたのおかげで、今日という日がいい日になった」
そんな気持ちを、たった一言で相手に渡せる言葉です。
あの日、私は彼女の一日を少しだけいい日にできたのかもしれません。
でも同時に、
彼女のその一言のおかげで、
私の一日も、間違いなくいい日になりました。
今でも、ときどきあのおばあちゃんのことを思い出します。
歳を重ねて、いろんなことを忘れていったとしても、
最後に自分からぽろっと出てくる言葉が、
「ありがとう」とか、
“You made my day.” とか、
そんな言葉だったらいいなと思います。
きっと、そういうものは急には身につかなくて、
毎日の中で少しずつ自分の一部になっていくものなんだと思う。
だから私も、うれしいときはうれしいと、
ありがとうと思ったときはありがとうと、
ちゃんと伝えていきたい。
忘れられない言葉を学びました。
